2019.12.25

スポーツブランド・SVOLME (スボルメ)が國學院大學陸上競技部とオフィシャルパートナーを締結

INTERVIEW

駒澤大学在学中は主将として箱根駅伝総合優勝を果たすなど活躍、その後陸上界の名門・富士通を経て、2009年に國學院大学陸上競技部監督に就任した前田康弘監督。
以来、地道に指導を続けて毎年のように國學院大學陸上競技部を箱根駅伝出場を果たすまでに育てあげました。
そして今年1月の箱根駅伝では、部史上最高成績となる往路3位、総合7位の好成績を収めるに至りました。
躍進著しい今、この度オフィシャルパートナー契約を締結した、國學院大學陸上競技部・前田監督と、株式会社SVOLME代表取締役・渡邉祐二が語り合いました。

國學院大学陸上競技部監督
前田康弘が語る、
SVOLME採用と今シーズンの決意

現場で一緒にやれるメーカーがほしかった

  ― 今回、SVOLMEと契約に至りましたが、どのような経緯があったのでしょうか。

前田メーカーを変えることに関しては、私だけで決めたわけではなく、大学当局や、陸上部関係者、そして中心的な選手と話をして決めました。
SVOLMEさんというブランドは、まだ陸上界では一部の人しか知らないブランドではあります。
でも、うちの学生たちは知っていました。というのも、2年前のキャプテンだった向晃平(現マツダ陸上競技部所属)が入学してきたとき、SVOLMEを着ていたんですね。彼は中学までサッカーをやっていて、高校から陸上を始めた選手だったので、サッカーをやっていたときからSVOLMEというブランドが好きで着ていたみたいなんです。
うちのサッカー部もその当時SVOLMEさんのユニフォームを着ていたので、そこで初めて『SVOLMEというサッカーのブランドがあるのか』と知ることになりました。
初めて見たときから、デザイン性がかっこいいなと思いましたね。ただ、機能はどうなのかな?というのが正直ありました。

渡邉それでも今回SVOLMEと契約に踏み切ったきっかけはどんなところにあったのでしょう。

前田ものづくりに一生懸命やっている部分が大きかったですね。私も指導者として現場にいる人間ですが、同じ現場主義であると感じました。話す感性が一緒だった。
やっぱり求めていることが合わないと、最初はよくても徐々に離れていってしまう。そういう関係は望んでいなかったんですね。

渡邉初めてお会いしたとき、私と前田さんが同じ歳であることが印象に残りました。

前田しかも社長は國學院大学出身ですよね。社長自らデザインしているというところもすばらしいことで、渡邊社長がデザインしたものを後輩たちが着て走る、夢があってかっこいいなと思いました。

渡邉うれしいですね。ブランドを立ち上げて13年目になります。SVOLMEは、サッカー、フットサルカテゴリーからスタートしてから、3年前よりランニング・陸上のカテゴリーもスタートしています。お正月に駅伝を見るたびに、自分の母校の後輩達が箱根駅伝という花形の大会で活躍しているのを目の当たりにし、大学への恩返しも含めて応援していきたい気持ちが常にあったので、いいチャンスをいただいたなと思います。

  ― 成績も昨年度は素晴しかったですしね。

前田私は今年が勝負の年だなと思っています。監督になって10年目になりますが、流れが来ているときに新しい要素、エッセンスも取り入れてチームをより強くしたい。だからこそ一緒にやれるスポーツブランドであるSVOLMEを着て勝負したいという気持ちでいます。デザイン性がすごいですし、着心地や軽さ、フィット感もいいですね。スポーツとアパレルの融合的なものを考えている社長のコンセプトも、実は自分もそういうモノをと考えていたので、共感できました。
どちらかというと昭和の時代ってスポーツブランドはスポーツ、アパレルブランドはアパレルと分かれていたイメージですけど、それを融合する日本発祥のブランドとして、もっと私どもが活躍して知ってもらえる存在になれば。

渡邉ありがとうございます。

前田デザインはどういう風に行なっているんですか?

渡邉自分でイメージするときは人が着ているとき、走っているときをイメージして、大会とか出ているようなシーンを想像して、着ているときにどう映るかとイメージしてから、デザインに落とし込みます。
ものまねは好きじゃないから、そこは意識しています。よくありがちなのが、『こういうものが売れているよね、流行っているよね』、と流行にあわせて作っていく。そういう感じじゃなく、ゼロベースで自分でデザインします。

  ― 選手からの評判はいかがですか?

前田ウェアに関しては選手からも好評ですね。ランニングパンツとかに関しても選手目線だと短さがいいと思う。あと軽量感とデザイン性。ポケットがあるのもすごいいい。結構つくりが細かいなと。正直なところ、『良いのはデザインだけだろう』と最初思っていたのですが、トップレベルの選手がアップから着用している。というのは機能的にも評価しているんだろうなと思います。

渡邉僕らもよく言われるのはデザイン性の部分です。会社がスタートしたときは、できることとできないことがあるので、今でこそ、最初はいいものを作っていたとは言えないけれど、5年目くらいから着心地、品質、耐久性も取り組んでいます。

前田着心地とか、ほんとうにいいですもんね。

選手の自立が成長の鍵

  ― 昨年総合7位と活躍されたときの中心メンバーが今年も残っていますね。今年の目標は?

前田目標は指導者が立てるものではなくて選手が立てることが大事だと思っていて、まず選手のミーティングからスタートしました。選手が立てたのは箱根の往路優勝と総合3位。それは冗談抜きで私の中の目標値と一緒だったので、選手とのベクトルが噛み合っていると確認できました。高い目標ですけど、不可能な目標とは思っていないので、そこに向けてやっていきます。

渡邉会社を経営している側として、監督という立場と似ているところがあるのかなと思っているのですが、選手のモチベーションや能力を最大限に引き出すコツ、ポイントとして心がけているのはどんなところでしょうか。

前田飴と鞭じゃないですかね。だめなものはだめとはっきり言うし、がんばっているときはちゃんといってあげる。作らずに言ってあげる。
言葉とか対話とか話し方とか、一人ひとり全部変えます。感性が大事だと思うんですね。感じ方や選手のちょっとした仕草をどう読むのか。 コーチが2人いるので、コーチに任せるところは任せていかないといけない。社長もそうだと思うんですけど、全部やりたくなっちゃう、でもそれじゃうまくいかない。
ただ、選手との対話は重視しています。SNSが流行っている現在ですが、面と向かって話したほうがその子の心は見えやすい。SNSだと分からないですから。便利だけど分からない。
だから1対1でちゃんと話す場をつくり、選手が自分で目標を定めさせるようにしています。こっちが「何々をやれ」というのは、正直これだけのチームになってきたので、ほぼほぼないですね。

渡邉選手の自立が成長につながっている。

前田そうだと思います。だめなときもあると思うんですけど、ちゃんと見守る中で、そのときの言葉がけというのは心がけてやらないと、つぶれちゃう子がでてきてしまう。そこは大事にしていますね。

選手の生き様を見てほしい

渡邉前田監督からSVOLMEに関して『もっとこうして欲しい!』という要望や、気になるところはありますか?

前田シューズですね。デザインとかはかなりいいところまできていると思うけど、ランニングにも用途があるので、機能性を充実させてほしいです。レーシング、箱根の本番で使えるシューズを社長には求めていきたいですね。一線級のシリアスランナーがSVOLMEを選び、2時間10分を切って走ったり、メジャーなマラソンで走ったり。あとは箱根駅伝とか駅伝大会でも履くランナーが出るのを期待しています。

渡邉来年度中に新しいモデルを発売できるんじゃないかなと思っています。ただ開発に期限を決めていい商品が出せないといけないので、ちゃんと自分たちが納得したものを届けたいと思っています。

前田徐々にだと思うので。いきなりクオリティがあがることはないし、失敗を繰り返してものづくりもできていると思うので。

渡邉スポーツメーカーとしてチャレンジしないといけないところなので、やっていきますよ。

  ― ところで、大学陸上界では、同年代の指導者の方々が活躍していますね。

前田そこもパワーになりますね。法政の坪田君とか明治の山本君とか、あと実業団だとホンダの小川君、みんな同期じゃないですか。
去年の全日本大学駅伝は7区まで3チーム(國學院大・法政大・明治大)でシード権争いしていましたから。このままいったら3チームともシードをとれる流れだったんですけど、山本君のところ(明治大)がラスト逃してしまって。山本君には、『お前のところが仕掛けたからだ』と怒られました(笑)。
法政の坪田君とはライバル的な存在で、全日本は私達が勝って、箱根は8区で逆転されたということで1勝1敗。

渡邉同期の指導者がいるとモチベーションにも。

前田なりますね。同じ学年、陸上界でがんばっていこうというみたいなのはありますね。

渡邉すごいいい関係に見えます。

前田どっちが生きるか死ぬかみたいなところもありますね。ギスギスした関係にはなりたくないけれど、負けないという思いを常に持っていないとお互いの向上にも繋がらないので。

  ― 最後に、今年の國學院の見所をお聞かせ下さい。

前田今年は4年生の、キャプテン土方英和、昨年5区で区間新の浦野雄平、あと青木祐人。3人の最終年度になるので、3人の生き様を見てほしいと思いますし、2年生の藤木宏太という選手が期待できます。新1年生の双子の中西唯翔・大翔も、メインになってくる選手だと思いますし、ほかにも楽しみな選手がいます。
箱根だけじゃなく、出雲駅伝1)と全日本大学駅伝2)というレースがあるのですが、ここもちょっと高いレベルにトライしていきたいと思います。

渡邉ぜひ応援していたいと思います。期待しています。頑張ってください。

1) 出雲駅伝…正式名称『出雲全日本大学選抜駅伝競走』。毎年体育の日に、島根県出雲市で開催される。

2) 全日本大学駅伝…正式名称『秩父宮賜杯 全日本大学駅伝対校選手権大会』。毎年秋に開催される。箱根駅伝・出雲駅伝と並ぶ、男子の三大大学駅伝の一つ。

前田 康弘 監督

1978年2月17日生まれ。市立船橋高校卒業後、駒澤大学陸上競技部に所属。1998,1999年全日本大学駅伝では2連覇を成し遂げ、2000年の箱根駅伝では主将として総合優勝を果たす。大学卒業後は富士通に入社後、2007年より國學院大學陸上競技部コーチに就任し、2009年より監督に昇格。第95回箱根駅伝にて、チーム史上最高成績の総合7位(往路3位)の成績を残した。

渡邉 祐二

1977年7月21日生まれ。幼少期からサッカーをはじめ、國學院久我山高校サッカー部、國學院大学サッカー部を卒業。その後文化服装学院・アパレル会社を経て、2006年に株式会社VOLUME(当時、現株式会社SVOLME)を設立。